会社退職後の健康保険はどうしたらいいのか。
経験からどうすべきか、順番にポイントを解説していきます。
1.家族(配偶者ないし親)の扶養に入る
配偶者が会社員等である場合、配偶者の扶養となり、配偶者の健康保険に加入することが出来れば、被扶養者として保険料徴収がありません。ただし、加入要件があります。
保険料がかからないので、これが一番お得なんですが、簡単に加入することは出来ません。
配偶者の健康保険組合により審査条件は異なる場合があります。
年間収入130万円未満などの条件があります。詳しくは配偶者の会社の社会保険担当にて確認するか、配偶者の健康保険組合のHP等で確認して下さい。
退職時の源泉徴収票がこの年間収入を超えているとその年は扶養になれません。
退職時に余裕があれば、それらを考慮して退職時期を決めるのも健康保険に関してはいい判断ではないでしょうか。
子が親の扶養に入るのも同様な考え方です。ただ、親の健康保険組合の審査条件によるところです。
2.任意継続被保険者になる
退職時に加入していた健康保険組合に任意継続として加入する。
在籍時と同様な給付やサービスをそのまま利用することが出来ます。ただし、保険料は会社負担分も自己負担するので、約2倍になります。
健康保険組合により、任意継続の場合の保険料の算定が違う場合があります。自分の保険料がいくらになるか確認して下さい。
通常は、退職時の等級 標準報酬月額を見ます。それと、健康保険組合で定められている平均標準報酬月額があり、いずれか低い方が任意継続での保険料となります。その金額をメモしておいて下さい。健保組合にもよりますが、健保組合のHPで試算出来るシートを開示していることもあります。
平均標準報酬月額は、健保組合の2月にある総会で、翌年度(4月から3月)の平均標準報酬月額が確定します。よって、年度により変わる可能性があります。
任意継続の加入期間は最大で2年間というルールがあり、今は途中で自己都合での脱退も可能です。国民健康保険に切り替える場合、保険料を見て、ベストのタイミングで切り替えることが可能ということです。
扶養者がいる世帯主であるなら、任意継続がいいと思われます。
健保組合にもよると思いますが、全期前払い(4月から翌3月分)と半期前払い(4月から9月分、10月から翌3月分)がある場合があります。多少の割引がありますが、それぞれに対象月の前月末までに、まとめて支払う必要があります。脱退時期を考慮しつつ、月払いと併用するのがいいかと思います。
確定申告での社会保険料控除は、原則、支払ベースです。退職年と退職翌年で、収入格差が想定される場合は、退職年に多く支払うとかすると、多少ですが調整が可能です。
参考例ですが、自分は6月末退職しました。相続した親の事業を細々としています。なので、退職年の方が所得が多くなります。なので、退職年に、7月分から9月分を月払い、10月分から翌3月分を半期前払いしました。退職翌年の健康保険料の3ヶ月分を退職年に支払い、社会保険料控除しました。
3.国民健康保険に加入する
お住まいの市区町村の役所で手続きをします。市区町村により保険料が多少違いがあります。
考え方として、一人ずつの保険料を算定して、世帯主に請求が来ることになります。健保組合のような扶養という考え方はありません。
区役所の場合、区役所HPの国民健康保険課で、国民健康保険料が算定出来るエクセルシートをダウンロード出来たりします。それがある場合、それで前年度の所得を入力すると、ほぼ近い保険料を算定することが出来ます。保険料をメモしておきましょう。
国民健康保険の考え方は、4月から翌3月までを年度とみます。(期間の考え方は健保組合の任意継続も同様です)
前年の所得に応じて、4月から翌3月までの1年間の保険料が確定します。通常のタイミングを確認すると、前年度の確定申告が3月15日まで。そして、6月に住民税が送付されてきます。国民健康保険料も同様に6月に送付がされてきて、残り10ヶ月で1年分を支払うことになります。
こちらは、前払いのような一括支払いで割引になる考え方はありません。10回分の納付書をまとめて支払うか、毎月支払うかということになります。
こちらも退職年に加入して、社会保険料控除を多くしたければ、12月までに翌1月分から3月分を支払えば、退職年として確定申告に入れることができます。
4.国民健康保険組合に入る
国民健康保険は、地域によって加入します。国民健康保険組合は、業種や職種によって加入するものです。
個人事業主となり、該当する業種や職種の地域などで、国民健康保険組合がある場合、加入できる場合があります。医師、歯科医師、薬剤師、建設、上記以外の一般業種があります。国民健康保険組合により、加入条件や保険料、サービスなどは異なっています。
以下は、国民健康保険組合とは何かを分かりやすく記入されているサイトです。参考にして下さい。
国民健康保険組合の特徴は、収入による場合もありますが、収入に関係がなく、保険料が一律になっている場合が多いです。その場合は収入が多ければ、お得になると思います。収入が少ない場合は、地域の国民健康保険の方がお得になると思います。もし、該当する組合があれば、保険料を試算してみて、メモして下さい。
選択肢として挙げていますが、レアなケースになるでしょう。会社員を退職して、個人事業主となり、これらの限られた業種、職種に該当するのは以下のケースぐらいじゃないでしょうか。
例えば、相続で親の事業を引き継いで、個人事業主となった場合で該当する組合があれば、こちらも選択肢になりうるということになります。
まとめ 判断するポイント
以上、4つ紹介しました。
1.配偶者の扶養になり、配偶者の健康保険組合に入る
これが出来れば、これが一番ベストです。
4.国民健康保険組合もレアなケースです。
多くの場合は、2.任意継続、3.国民健康保険のいずれかになります。
それぞれの保険料を比較してみて下さい。
2.本人のみ、3.4.は本人と本人の扶養者も含めて下さい。
その他、健保組合に健康診断や保養所など手厚いサービスがあれば、それも加えて比較して下さい。
以上の支払う保険料をベースに、給付やサービスなども加えて判断して下さい。
おそらくですが、退職時の前年が1年フルの収入だと思われます。だとすると、健保組合の任意継続にしておくのがお得じゃないかと思われます。
国民健康保険は、退職時は、退職前年の確定申告により、保険料が確定されます。
参考に自分のケースを記載しておきます。
6月末退職で、試算し、任意継続の方が保険料が安かったので、7月から、まずは任意継続しました。
国民健康保険に切り替えるタイミングは退職年の確定申告が反映されるタイミングだと思っていました。住民税が確定するのが6月なので、7月からかなと思い、退職年の翌年6月に任意継続を脱退、7月から国民健康保険に加入しました。
窓口で手続きをして、対応者に確認してみました。切り替えを6月か7月で悩んで、7月にしたと。役所の人なので自分のことだけ説明をしました。
国民健康保険の考え方が4月から翌3月までの年度を前年の所得(確定申告)により保険料が確定される。
このことにより、自分は6月か7月で迷っていましたが、結論として違いました。4月から国民健康保険に切り替えればよかったのです。保険料だけをみた場合、それがベストでした。反省です。
4月から国民健康保険に切り替えた場合、前年の確定申告が確定するのが6月。6月に10ヶ月1年分の納付書が届くのです。
健康保険の加入、脱退のタイミングについて、参考にしてもらえればと思います。
結論 このパターンがベスト
考えるのが面倒な人、そして多くの人がベストだと思われるパターンです。
会社退職後の健康保険は、在籍時の健保組合で任意継続にします。
そして、退職翌年の3月に任意継続を脱退します。
退職翌年の4月から地域の国民健康保険に加入します。
健保組合からの任意継続脱退証明書を持って、手続することになります。
退職年の退職月が年の後半9月から12月の場合は、もう1年任意継続した方がいいかもしれません。
その場合、保険料を試算して、比較して判断して下さい。
退職後の健康保険に悩んだ時の参考になりますように。
ここまで、ありがとうございました。